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井川 直樹; 石井 慶信; 星川 晃範; 山内 宏樹; 下山 智隆
JAERI-Tech 2004-067, 23 Pages, 2004/11
従来よりも微細な氷を用いることでメタンハイドレートを合成した。中性子回折実験及びメタンハイドレート分解実験によるメタンガス放出量の測定の結果、合成したメタンハイドレートが、実験精度以内で、不純物や未反応の氷を含まない高品質なものであることがわかった。なお、メタンハイドレートの中性子回折データを用いてRietveld解析を行い、さらにMEM解析を行った結果、メタンハイドレート中の各構成原子の散乱長に基づく各原子位置の密度分布を可視することができた。
Chakoumakos, B. C.*; Rawn, C. J.*; Rondinone, A. J.*; Marshall, S. L.*; Stern, L. A.*; Circone, S.*; Kirby, S. H.*; Jones, C. Y.*; Toby, B. H.*; 石井 慶信
Proceedings of 4th International Conference on Gas Hydrates (ICGH-4), p.655 - 658, 2002/05
メチレン・エチレン混合ガスから作った水化物の中性子回折実験を広い温度領域で行い、回折パターンを観測した。測定は主にJRR-3Mに設置してある高分解能中性子粉末回折装置(HRPD)を使用して行い、補助的に米国NISTのHRPDも用いた。観測データをリートベルト法に従って解析し、ガス水化物結晶パラメーターの精密化を行った。この結果、構成原子の配置位置及び熱振動パラメーターを精度良く決定できた。混合ガス組成を持つ水化物の基本的物理量を決定したことは非常に有意義であることから、横浜で開催の第4回ガス水化物国際会議で発表する。
Rondinone, A. J.*; Chakoumakos, B. C.*; Rawn, C. J.*; 石井 慶信
Proceedings of 4th International Conference on Gas Hydrates (ICGH-4), p.625 - 629, 2002/05
重水化したトリメチレン酸化物(TMO)水化物の中性子回折実験をJRR-3Mに設置してある高分解能中性子粉末回折装置により回折パターンを広い温度範囲に渡って観察した。観察したパターンをリートベルト解析して、I型結晶構造及びII型結晶構造の結晶パラメータを決定した。その結果、両者の格子定数の温度変化が100K以上の温度範囲では直線的であることを見いだした。さらに両タイプの水化物の酸素座標位置から、大きな篭の体積と小さな篭の温度変化を導き出した。その結果I型では、160から220Kの温度変化で体積が減少することを明らかにした。また原子の振動振幅の温度依存性を求めた結果、振動振幅は190Kで最大となり、それ以上の温度範囲では温度の増加につれて減少した。これは、温度の上昇に伴ってゲスト分子の回転自由度が生じ、回転したためであろうと結論した。水素(重水素)原子等軽原子からの散乱を観測できる唯一の測定法である中性子回折を行い、上述の新たな知見を得たので発表する。
佐久間 隆昭*; 中村 好夫*; 広田 雅樹*; 村上 明宏*; 石井 慶信
Solid State Ionics, 127(3-4), p.295 - 300, 2000/01
被引用回数:8 パーセンタイル:44.62(Chemistry, Physical)AgBrは超イオン伝導体であり、熱振動振幅が非常に大きい物質である。この物質の回折パターンをリートベルト解析を行う場合には、原子の熱振動に由来する散漫散乱を考慮してリファイメントする必要がある。本論文は、この散漫散乱を理論的に考察し、散漫散乱を回折パターンの記述に必要な一つの関数であるバックグラウンド関数に繰り込んで、実験値と比較、検討した結果を報告したものである。実験はJRR-3Mに設置されたTAS-2中性子散乱装置を用いて行った。測定温度は、散漫散乱が無視できる温度、7Kと散漫散乱が優位に現れる290Kの二つの温度である。散漫散乱を積極的に取り入れて、測定データをリートベルト解析をした結果、測定データを精密にリファイメントでき、この手法により、結晶構造を記述する各種係数を正確に決定できることがわかった。超イオン伝導体など原子振動の大きい物質について、回折測定結果をリートベルト解析するには、散漫散乱を十分考慮して解析する必要がある。以上、中性子散乱実験結果の解析手段の向上及び超イオン伝導体に関する新たな知見を得たので報告する。
藤井 博信*; 小山 佳一*; 多々見 貢郎*; 光藤 誠太郎*; 本河 光博*; 梶谷 剛*; 森井 幸生; P.C.Canfield*
Physica B; Condensed Matter, 237-238, p.534 - 540, 1997/00
被引用回数:6 パーセンタイル:42.7(Physics, Condensed Matter)YFe及びこれを高圧Nガスで窒化したYFeN粉末材料の中性子回折実験を行った。回折データのリートベルト解析により、窒素原子はC面内でY原子を三角形でとり囲む9eサイトに99.5%侵入し、18gサイトには4%侵入することが判明した。また窒素の侵入により、9eサイトのN原子に最近接の18fサイトのFe原子の磁気モーメントは最も小さく(~2.0)て、最も遠い6cサイトのN原子の磁気モーメントが最も大きい(~2.9)ことが10Kにおいて観測された。
盛 一也*; 石垣 徹*; 森井 幸生
Physica B; Condensed Matter, 213&214, p.87 - 89, 1995/00
被引用回数:2 パーセンタイル:18.64(Physics, Condensed Matter)YBaCuOは、Caをドープすることで超伝導転移温度が80Kから90Kまで上昇し150K近傍で2時相転移的な比熱の跳び及び熱電能異常が報告されており、なんらかの相転移が示唆されている。この相転移と構造相転移の関連を調べるために、YCaBaCuO(x=0.07)粉末試料の中性子回折及びX線回折実験をおこなった。中性子回折では、転移温度前後での構造の変化を見いだすことはできなかったが、わずかな格子定数aの異常を認めた。この異常の詳細をX線回折により調べ、検討を行った結果、格子定数a及びbの温度依存性が150K近傍で不連続的な変化をすることを見いだした。これは一般的な相転移に伴う熱膨張率の変化によるものか、あるいは結晶の対称性の変化によるものと考えられるが、現在のところ、中性子回折では、この系の構造相転移を示唆する結果を得られていない。
小野 泰弘*; 島村 清史*; 森井 幸生; 福田 承生*; 梶谷 剛*
Physica B; Condensed Matter, 213-214, p.420 - 422, 1995/00
被引用回数:10 パーセンタイル:55.1(Physics, Condensed Matter)中性子粉末回折法により、Ca-Nb-Gaガーネットの結晶構造を室温から800Cの間で調べた。X線単結晶回折による結果と総合して、可能な空間群はNo.199であると判明した。またCaサイトに1~2%の空孔が存在すること、Nbイオンの一部がCaやGaで置換されていること等が明らかになった。Ca-Nb-Gaガーネットに希土類元素を添加した物質は、350C以上で、誘電率がa-面の伝導率と同じように急激に増加するが、これと対応してX線回折強度が変化することを見い出した。
菊地 真美*; 泉 富士夫*; 菊地 昌枝*; 大嶋 江利子*; 森井 幸生; 下条 豊; 庄野 安彦*
Physica C, 247, p.183 - 188, 1995/00
被引用回数:11 パーセンタイル:57.88(Physics, Applied)BaCaCuOCOの結晶構造パラメータを中性子粉末回折データをリートベルト解析法により求めた。=0の試料では空間群P4/mmmを持つ正方晶を示し、格子定数a=5.7879、c=8.1409を持つ。この結晶はペロブスカイト型のABO型化合物の構造と密接な対応関係をもっており、Ba原子はAサイトに、Ca、Cu、C原子はBサイトに位置することが判明した。Cu原子については正方晶ab面内で4ヶの酸素と結合しているCu(I)とc軸上で2ヶの酸素と結合しているCu(II)の二種類の結合状態を持っていることも判明した。
大嶋 江利子*; 菊地 昌枝*; 泉 富士夫*; 平賀 賢二*; 奥 健夫*; 中島 理*; 大西 直之*; 森井 幸生; 舩橋 達; 庄野 安彦*
Physica C, 221, p.261 - 268, 1994/00
被引用回数:19 パーセンタイル:74.3(Physics, Applied)TlSrCuOyの結晶構造解析を中性子回折データのリートベルト解析を主に、電子線回折および電子顕微鏡観測も併用して実施した。その結果CuO面のa軸方向に酸素欠損が生じており、それがb軸方向の超格子の形成と整合していることが判明した。銅は八面体配位とc軸を含む平面四配位を交互にとり、それに従って、頂点酸素の位置はc軸方向に大きく変動していることが明らかとなった。中性子回折から求まった結晶構造パラメータを使ったコンピュータシミュレーションによって電子顕微鏡写真が再生できた。
梶谷 剛*; 森井 幸生; 舩橋 達; 入山 恭彦*; 小林 久理真*; 加藤 宏朗*; 中川 康昭*; 平賀 賢二*
Journal of Applied Physics, 73(10), p.6032 - 6034, 1993/05
被引用回数:26 パーセンタイル:77.25(Physics, Applied)NdFeN(x=0,3.0,3.2)について室温での高分解能粉末中性子回折実験を行った。波長1.8232、ユリメーション6-20-6。リートベルト解析による構造パラメータの決定の結果、窒素の添加によって格子定数が大きく変化すること、一方6Cサイトの2ヶのFe(1)と18fサイトの6ヶのFe(3)でつくるグループの構造はほとんど変化しないことが判明した。また鉄原子の磁気能率の解析から6c,9d,18f,18hサイトにある鉄原子は無窒化物では0.7であるのにx=3.2では2.1まで増加することが判明した。
管家 康*; 泉 富士夫*; 森井 幸生; 舩橋 達; 加藤 克夫*
Journal of Solid State Chemistry, 104, p.319 - 327, 1993/00
被引用回数:5 パーセンタイル:26.38(Chemistry, Inorganic & Nuclear)マグネットプランバイト型酸化物NaFeVOの結晶構造を中性子回折及びX線回折データを用いたリートベルト解析法により決定した。この結晶は六方晶系、空間群P/mmcで、格子定数a=5.8388A、C=22.8017Aである。マグネットプランバイト型構造NaMO(M=Fe,V)におけるM(3)位置にはFeのみが占有して入るが他のM位置にはFeとVが共有して入ることが明らかとなった。
宮崎 譲*; 山根 久典*; 梶谷 剛*; 森井 幸生; 舩橋 達; 平賀 賢二*; 平井 敏雄*
Physica C, 215, p.159 - 166, 1993/00
被引用回数:8 パーセンタイル:46.11(Physics, Applied)(SrBa)CuO(CO)(0≦x≦1.75)固溶体をO-COガス雰囲気中1173Kで合成した。B濃度を増加させると格子定数が増加する事、290Kでの電気伝導度も増加することが判明したが、12Kまでの温度範囲では半導体的であり、超電導転移は認められなかった。x=1.75の試料では約12%の炭素原子が固溶体中で欠損している事が中性子回折データのリートベルト解析より判明した。またこの炭素欠損位置に、余剰酸素が占めて、CuO面にホールを与えていることも判明した。
藤下 豪司*; 佐藤 正俊*; 森井 幸生; 舩橋 達
Physica C, 210, p.529 - 535, 1993/00
被引用回数:5 パーセンタイル:34.11(Physics, Applied)PbSrYCuO(=0,1.67)の結晶構造を中性子粉末回折法により決定した。=0の試料では以前から考えられていた斜方晶系よりも単斜晶系と考えた方が回折実験をより良く説明することが明らかになった。X線回折では決定困難だった酸素位置、特にO(2)原子位置を精密に決定することができた。熱処理した試料についてはX線回折結果は正方晶系を、中性子回折結果は斜方晶系を支持しているが、今回の実験結果をリートベルト解析した結果でも斜方晶の方がよりよいフィッティング結果を示した。
宮崎 讓*; 山根 久典*; 梶谷 剛*; 奥 健雄*; 平賀 賢二*; 森井 幸生; 渕崎 員弘; 舩橋 達; 平井 敏雄*
Physica C, 191, p.434 - 440, 1992/00
被引用回数:114 パーセンタイル:97.09(Physics, Applied)SrCOとCuO粉末を1273KでCO分圧を0.01MPaに保ったO-COガス流の条件下で熱処理して、SrCuO(CO)を製作した。この粉末物質のX線および中性子回折実験より、格子定数a=7.8045、c=14.993を持つ正方晶構造(空間群I4)をとっていることを明らかにした。また単位胞には8ヶの分子が含まれていること、CuO八面体がヤーンテラー効果によりC軸方向に延びていることも明きらかにした。
宮崎 譲*; 山根 久典*; 大西 直之*; 梶谷 剛*; 平賀 賢二*; 森井 幸生; 舩橋 達; 平井 敏雄*
Physica C, 198, p.7 - 13, 1992/00
被引用回数:103 パーセンタイル:96.58(Physics, Applied)中性子回折法を用いて、(CCu)Sr(YSr)CuOの結晶構造を調べた結果、空間群Pmmmに属し、格子定数a=3.8278、b=3.8506、C=11.1854を持つ斜方晶構造をとっていることが判明した。また、YBaCuO構造との対比では、CuO鎖の40%がCOで置換されたものになっていることや、a軸やc軸にそって超格子構造をとることも判明した。超格子構造に関連して、電子回折パターンではa/2からa/3へと、C/2において散漫散乱が観測された。
森井 幸生; H.R.Child*; 舩橋 達; 泉 富士夫*
JAERI-M 91-162, 113 Pages, 1991/09
泉富士夫著「リートベルト解析システムRIETAN」の英語版である。RIETANはX線および中性子線による粉末物質の回折実験データのリートベルト解析プログラムとシミュレーションプログラムの統合プログラムで、本書のI部でそれの一般的解説を行い、II部で使用方法について詳述している。